ISDN 導入記.targz

この記事は、1996年にわたしが ISDN 回線 (INSネット64) を導入したときの記録です。申し込み時点からリアルタイムで執筆していました。ADSL や光回線が普及した現在では古い記事ですが、こういう時代もあったという記録を兼ねて残しておきます。

ISDNの基礎知識・INSネット64の申込

みなさんには、大学や会社で専用線に接続されたマシンでインターネットを利用している方もおられるでしょうが、28.8Kbps のモデムによるダイヤルアップ接続の利用者がほとんどでしょう。

しかし、28.8Kbps は遅すぎます。大学の UNIX マシンで Web サーフィンをすると専用線の速さを思い知らされます。そこで、少しでも速い回線を使用するためにISDNを導入することにしました。ここでは、みなさんが ISDN を導入されるときの参考になるように、導入記を連載します。


ISDNって何やねん

ISDN導入記に入る前に、簡単にISDNの説明をしておこう。

ISDNというのは、ディジタルの電話回線だ。日本では、NTTが「INSネット64」「INSネット1500」というサービスを提供している。とくに「INSネット64」は、従来の加入電話と同じ電線 (メタリックケーブル) を使うので、加入電話からINSネット64に切り換えることができる。

従来の加入電話 (アナログ回線) では、回線品質がそんなに良くないので、データ通信に使うには28.8Kbpsが限界だ。しかし、INSネット64では38.4〜64Kbpsの高速なデータ伝送ができる。

さらに、INSネット64では通話チャネルが2本あるので、インターネット利用中でも電話が使えたり、電話中にFAXが出せたりできる。ほかにも、着信通知サービスなどの無料の付加機能が充実している。

わたしは、通話チャネルが2本ある (=インターネット利用中に電話が使える) ところに魅力を感じました。加入電話だとインターネット利用中に電話が使えないので不便です。「キャッチホンII」を使えばかかってきた電話を捕まえることができますが、月額500円と高いわりに大したサービスではありません (普通の「キャッチホン」はインターネットに不向き) 。

月額の使用料金について比較すると、次のようになる。

○加入電話+プッシュ回線+キャッチホンIIと、INSネット64の比較

 基本料金
(住宅用)
プッシュ回線使用料キャッチホンII合計
加入電話1750円
(1級局)
390円500円2640円
INSネット642830円不要不要2830円

※INSネット64では、電話番号をディジタルで送るのでプッシュ回線は不要。さらに、同時に2チャネル通話できるので「キャッチホン」より便利。

○加入電話 2回線と、INSネット64で2つの電話番号を使用する場合の比較

 基本料金
(住宅用)
プッシュ回線使用料ダイヤルインサービス合計
加入電話3500円
(1級局)
780円不要4280円
INSネット642830円不要900円
(1800円)
3730円
(4630円)

※ダイヤルインサービスは、2つの通話チャネルに別々の電話番号を割り当てるために必要。通常1800円必要だが、使用機器によっては900円で済む。

なお、ISDN導入記では「ISDN」と「INSネット64」という言葉を混在している。前者は、INSネット64とINSネット1500に共通の文脈で使用し、後者はINSネット64だけに通じる文脈で使用する。

上に戻る


大学でのISDN導入説明会に行く

Kyoto-inet に入会して半年も過ぎると、モデム接続に不満を感じるようになった。そんなとき、所属学部からNTTに就職した方が、新人研修の一環としてISDN導入説明会を開くという。早速説明会に出ることにした。以下、説明された内容を述べる。

まず、ISDN回線に繋ぐには、DSU (Digital Service Unit) という装置がいる。これは、ISDN機器を繋げるために必要な装置だ。DSUには「Iインターフェース」というモジュラージャックがあるので、ここにISDN用の機器を繋げる。

さらに、コンピュータや既存のアナログ電話を使用するためにTA (ターミナルアダプタ) という装置がいる。ほとんどのTAには、1個のディジタルポートと2個のアナログポートがあるので、ディジタルポートにはコンピュータを、アナログポートには既存の電話・FAXなどを繋げるとよい。

実は、DSUに直接繋げられる「ディジタル電話機」もあるのだが、機器の値段が高いのであまり使われない。また、ISDNボードをコンピュータに内蔵すれば、コンピュータとDSUを直結することができる。しかし、ISDNボードにはアナログ電話機を繋げられないので、電話ができなくなってしまう。TAを使用した方がいいだろう。

なお、2ヶ口コネクタを複数使ってISDNケーブルを分岐させればISDN機器を複数接続することができるので、TAの代わりに「ディジタル電話機+ISDNボード」を使用することもできる。

ここで、TAを選ぶときの注意がある。必ず「同期非同期変換」機能を持つものを選ぶことだ。通常、コンピュータのシリアルポートとTA間は、非同期のプロトコルで繋いでいるので、38.4Kbpsまでしか通信できない。しかし、「同期非同期変換」機能を持つTAなら、シリアルポート経由でも64Kbpsの高速通信が可能である。もちろん、シリアルポートは64Kbps以上の速度 (115Kpbs, 230Kbpsなど) に対応していないといけない。古いマシンだと対応していないことがある (PowerMacだったら大丈夫) 。

ISDNの接続に必要な機器をまとめると次のようになる。

○ISDN回線への一般的な接続方法○

説明自体は、以上のようなNTTのパンフレットにもある内容であったが、おもわぬ収穫もあった。

まず、屋内配線にモジュラージャックがある場合は、モジュラージャックから先は自分で工事ができるので、工事費はわずか2000円で済むこと。次に、INSテレホーダイでは、あらかじめ予約した番号であれば同時使用しても定額料金で済むこと。インターネットを使いながらNIFTYを使用できたり (telnetでNIFTYに繋ぐのは遅い) 、2つのプロバイダを同時使用したり、プロバイダによっては128Kbpsの高速通信もできる。

工事費が2000円で済むのだったら、60000円あればINSネット64に移行できるということだ (DSUとTAあわせて58000円程度) 。これなら、なんとかなりそうだ。

上に戻る


NTTの営業所に行く

早速NTTの営業所に行く。説明会では「2〜3ヶ月待ち」との話を聞いていたので、長期戦を覚悟する。

まず、仮契約書を結ぶ。使用中の回線がINSネット64に適さない場合もあるので、すぐには契約できない。その後回線チェックを行い、OKであれば本契約を結び、回線の工事を行う。工事は8月上旬になるという (早いじゃないか) 。いちいち営業所に出向くのは面倒なので、仮契約の段階で本契約の書類も作成しておいた。本契約の書類には使用機器を書き込まなくていけないが、後日に電話で伝えればよい。また、回線チェックの結果は電話で知らせてもらえる。

そして、使用機器の選定にはいる。とりあえず、NTT-TEの「ISDNスタータパック」 (MN128+DSU+簡単配線キットのセット) の申込書をもらう。現時点では一番安い (57400円) だろう。DSU内蔵のTAも安いのだが、このセットより高かったり、アナログポートが1個しかなかったりする。

営業所を後にして「ISDNスタータパック」の申込書をNTT-TE関西に郵送した。NECのDSU内蔵TAも惹かれるけどMN128の方が気に入ったのだ。料金着払いなので、今すぐ60,000円もの大金を用意しなくて済む。

さて、7/2 に回線チェックの結果が分かった。なんと「電話番号が変わるが、利用可能」だそうだ。3月にNTTの回線交換機が新型に変わったので、電話番号はそのままだろうと思っていたのに。残念だが、仕方ないな。

上に戻る


Copyright © 2004 NAKANO Takayuki. All rights reserved.